キース・アウト

マスメディアはこう語った

小学校英語やプログラミング学習のために、今から学習塾に入れる親や祖父母がいるらしいけど、馬鹿らしいからやめなさい。

 小学校英語とプログラミング学習のために今から塾に行く、そのための教育費がかさんで大変だという記事。
 しかし爺ちゃん・婆ちゃん、孫に”転ばぬ先の杖”を渡してはいけない。
 あんなもの、大して役にも立たなければ大変でもない。
 それにしても政府・文科省は、本気で国民にあれをやらせようというのか?
という話。

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記事

小学校の英語、プロミング教育導入 増える教育費に祖父母の負担増も
(2020.01.06 マネーポストWeb)

 2020年、子や孫の教育に関わる費用負担が大きくなるかもしれない。2020年度から新学習指導要領が実施され、4月から小学校でプログラミング教育が必修化される。合わせて、小学校5~6年生は英語も正式教科となる。

 こうした動きに伴い、民間の「英語塾」「プログラミング教室」が活況を呈しているという。 

 矢野経済研究所の調査によれば、2018年度の語学ビジネスの市場規模は8866億円にのぼる。小学生の英語教育の必修化に伴い、幼児・子供向けの市場は拡大する見込みだ。

 船井総合研究所などの共同調査では、2019年のプログラミング教育の市場規模は、前年比26%増の114億2000万円まで増加した。背景には、「小学校側の授業体制への疑問もある」と語るのは、ある学習塾関係者だ。

「小学校の先生は、英語やプログラミングの指導の専門性を持っているわけではなく、これまで触れてこなかった人も多い。それなのに、制度が変わったから4月から生徒に教えることになった、と言われて混乱している先生も少なくない。そうした先生には任せられないという不安から、民間の専門塾で習わせたいと考える保護者が増えていると考えられます」

 都内在住の70代男性は、英語教育を見据えて、小学生の孫を英会話教室に通わせ始めたと語る。

「孫は4月から5年生になるので、学校で英語の授業が始まります。なんとか頑張っていい成績を取ってほしいけれど、私と妻はもちろん、娘夫婦も英語を教えられない。それなら、英会話の先生がいる塾で勉強したほうがいいんじゃないかと通わせました。週1回1時間の授業で、月謝が1万円程度。孫のためと思って年金から払っています」

 株式会社バンダイが2015年に行なった「祖父母と孫の関わり方に関する意識調査」によれば、12歳以下の子供に対して祖父母が援助している教育関連費用は、平均で年間13万3135円だった。

 国語や算数など、従来の科目に加えて、英語やプログラミングの習い事が増えれば、親だけでなく祖父母が負担する事例はさらに増えそうだ。

(以下略)

 

【孫に“転ばぬ先の杖”を渡してはいけない】

 学校、特に小学校で学ぶことについて、「ついていけなければ子どもが(孫が)かわいそうだから・・・」と塾へ行かせることには基本的に反対である。
 基本的にと条件をつけたのは、ときに中学年以上でほんとうに何もわからなくなって教室で座っているだけの子が出てしまうことがあり、そうなる前に、親が丁寧に教えるとか塾に入れるとか、考えなくてはならない場合があるからだ。しかし一般的ではない。
 ましてや“転ばぬ先の杖”とばかりに、始まってもいない小学校英語やプログラミング学習のために、下準備する必要などさらさらない。

 さらに付け加えれば、国語や算数で遅れが出てしまったらちょっと気にしてやらなくてはならないが、週に1時間しかない授業のために、金を使い、時間を使い、子どもから遊びを奪うのは愚の骨頂だ。
 同じく週に一回しかない図工や家庭科のために塾に通わせる人はまずいないだろう。私たちは週1の学習で大きな差などつかないことを経験的に知っているし、そもそも週1ではつけられる力に限界があるのだ。

 爺ちゃん、婆ちゃん、暇に任せて始めた習字や絵画教室。講座は週1でも家でいっぱい練習してるだろ? 学習というのはそういうものだ。
 ほんとうに週1回しかやらないとしたら、それは大して力がつかなくてもいいということなのだ。小学校英語もプログラミングもその範疇にある。

 さらに爺ちゃん、婆ちゃん、英語やプログラミングが生きていく上で大して重要でないことは、あなたたちが一番よく知っているじゃないか。そんなアホなことで大事な孫を苦しめてはいけない。

 

 【ところで・・・】

 私は日本人を信じているから、国会議員や官僚が己の利益のために制度をつくったり変更したりするという見方には賛成しない。彼らだって大部分はまじめで誠実な日本人だ。
 ただ教育の制度改革・改変に際して、かくも業者の影がチラチラすると、もしかしたら本当に議員や官僚は財界のために制度をいじっているのではないかと不安になってきたりする。

 棚上げになっている大学入試の民間試験導入や記述式の業務委託、そう言えば全国学力学習状況調査(全国学テ)も一部の受験産業・宅配業者を十二分に潤わせている。
 教員免許更新制度は大学に年間30億円の収入を保障している(毎年10万人の教員が3万円ずつ払ってくれるから)。
 そのうえ小学校英語とプログラミングで、少子化のために息も絶え絶えの中小学習塾が潤うとなると、もう教員の働き方改革なんてどうでもよくて、経済を回し、財界に感謝され、ゆくゆくは自らの天下り先を用意してもらうための制度改革なのではないかと、勘繰りたくもなろうというものだ。

 私は日本人だ。同胞を信じたいし政府も信じたい。
 しかしこのまま唯々諾々と、政府に従っていてもいいものだろうか?