キース・アウト

マスメディアはこう語った

4月~8月生まれの子は、9月入学のために生涯賃金で1千万円損する~どうやら先送りになりそうでよかったが。

 自民・公明両党の検討委員会が9月入学を見送る方針を決め、
 どうやらこの件は先送りになる模様。めでたいことである。
 思えば今年3月以来、9月入学については良いことばかりがマスメディで取り上げられ、
 問題点は経費や社会との整合性についてのみ語られてきた。
 置き去りにされたのは将来の子どもたちだ。
 今、目の前にいる子どもの学力を守ろうとして、
 未来のすべての子どもたちを犠牲にするのは愚かなことだ。
という話。

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(「入学式」フォトACより)
 

記事


9月入学、文科相「直ちに導入を結論づけることない」
 
(2020.05.29 朝日新聞

www.asahi.com

 新型コロナウイルスの影響による長期休校を受け、政府が検討する「9月入学」について、萩生田光一文部科学相は29日の閣議後会見で「学校再開で授業や行事が実施できるなら、直ちに導入を結論づけることはない」との見解を示した。ただ感染の第2波の可能性にもふれ「引き続き検討は続けたい」とも述べた。

 9月入学について、文科省は子どもの学びの保障の観点から3月に検討を開始。来秋の導入が可能かどうか省庁をまたいで議論してきたが、自民、公明両党の検討会議は、拙速な導入はすべきではないとして、見送りを求める提言をまとめる考え。萩生田氏は「賛成派と反対派で議論が分かれ、大変な注目を浴びた。文科省として課題の整理は終わっている。どんな事態が起きても学びを止めない準備をしたい」と話した。
(以下、略)

 【大山鳴動して】
「9月入学問題」、泰山は鳴動したがネズミ一匹、出ないまま終わった。

 内容はともかく、今の新型コロナ事態の真っ最中に、急いで決めていいような話ではないという、ごくごく常識的な意見が通ったかたちである。それでいいと思う。

 私は5月1日のこのブログで反対し、別ブログでも5月11日(月)から15日(金)にかけて5日間、問題について考えたがやはり無理だと思う。

 

【9月入学にできない理由】
 日本の学校は国語や数学と言った教科教育だけを教える場ではない。そこでは児童生徒会、学級活動、各種行事を通して「望ましい集団活動を通して人間形成を図る教育活動」(特別活動の目標)が行われており、総合的な学習の時間を通して「生きる力」をつけ、部活動を通して「心身ともに豊かな人間」を育てようという場である。

 したがって入学を4月から9月に移動することによって、これらの活動が大きく阻害されるようなら、それはやってはいけないことである。そして私の感じではうまく回って行かない。70年もかけてじっくりと熟成してきたものだ。そう簡単に大きな実のなる果樹を別の土地に移すわけにはいかないのである。

 一例をあげれば、夏の甲子園大会の予選が大学入試と重なってしまう。インターハイも同様。さりとて予選を前倒しにして、陽の極端に短い冬に行うわけにもいかないだろう。中学校の部活動も同じ。「部活動は2年生の終わりまで」を標準にせざるを得ない。
 文化祭も真冬の行事となる。

 小中学校では季節に関わる教科書の内容を、国語・理科(観察等)・音楽などで変更しなくてはならない。音楽の教科書の1ページ目が滝廉太郎の「花」(♪春のうららの墨田川~)というわけにはいかないだろう。教科書の全面改訂だ。
 体育では水泳が、卒業・夏休み・入学式シーズンと重なるために削除。泳げない子が全国的に増える。
 いずれにしろ、覚悟が必要なことばかりだ。 

 

【4月~8月生まれの子は、生涯賃金で1千万円も損する】
 さらに問題だと思うのは、今だと6歳で入学している4月~8月生まれの子たちが7歳入学になってしまうことだ。


 日本語の特性(ひらがなさえ覚えれば小学校1年生でも文章が書ける、算数では10の位の数え方が英語に比べて楽、など)からいって、日本の子どもは欧米より2年以上早く学習を始められるはずである。実際にたいていの5歳児はひらがなが読め、一部の子は文章が書けてしまう。小学校高学年の算数などでは、現在でも欧米の同学年よりかなり高いレベルの学習をしている。
 ほんとうは就学時期を早めるべきなのだ。それを5カ月も遅らせるのはいかにももったいない。

 さらに言えば、私のふたりの孫はそれぞれ5月、6月生まれだが、9月入学になると生涯賃金で1000万円近い損失を被ることになる。
 今のままだと最短で18歳で高校を卒業し、65歳定年として就労期間は47年。ところが9月に7歳で入学すると卒業時は19歳。就労期間は46年。1年分の給料がもらえない。
 しかもそのもらえない1年分は18歳の給与ではなく、最終年(47年目)の、年功序列なら最も高い給与なのだ。

 そした不利をすべて甘受して、ウチの孫など足元にも及ばない優秀な人材を留学生として送り出したり迎え入れたりしなければならない、そんな義理はどこにもない、と私は思う。

 

 《参考》

kieth-out.hatenablog.jp

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