再び! 「小学校5,6年生が教科担任制になるかもしれないといっても、教師にとって何もいいことはないのかもしれない 」

 中央教育審議会が答申を出して2023年からは小学校にも教科担任制を導入することを示した。
 世間的には「教師の負担軽減につながる」と歓迎する見方もあれば、現場からは「冗談じゃない。教科担任制に使う金があるなら35人以下学級を早く実現しろ」とか「そもそも今どき先生になってくれる人がいるのか?」とか批判する声もある。
 しかし勘違いしてはいけない。政府の教育改革で地方や教員が楽になった例は一度たりともないないのだ。
という話。

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記事

小学校5・6年生に「教科担任制」本格導入を 中教審が答申
 (2021.01.26NHK)

www3.nhk.or.jp
新しい時代を見据えた学校教育の在り方を検討してきた文部科学省中教審中央教育審議会は、令和4年度をめどに小学校5年生と6年生の授業を対象として、中学校のように教科ごとに専門の先生が教える「教科担任制」を本格的に導入するよう答申しました。

中教審中央教育審議会文部科学大臣の諮問を受けて、デジタル技術の活用など新しい時代の小中学校や高校の教育の在り方について答申をまとめ、26日、田野瀬副大臣に提出しました。

答申では専門性が高い教員が児童一人一人の学習の習熟度に応じて指導できるよう、令和4年度をめどに小学校5年生と6年生の授業を対象として、中学校のように教科ごとに専門の教員が教える「教科担任制」を本格的に導入するよう求めています。

導入の対象は、算数、理科、英語の3教科で、ICT=情報通信技術を活用しながら専門の教員が指導することで、子どもたちの理解や学びを深め中学校での学習につなげやすくなり、教員1人当たりの授業時間の削減や準備の効率化により負担を軽減できるとしています。

小学校では、教員1人が1クラスを担当する「学級担任制」が主流ですが、英語の教科化に加えてプログラミング教育の必修化など教員の専門性が求められるようになっていて、文部科学省は、答申を踏まえて「教科担任制」の導入を進める方針です。

このほか答申では、高校の普通科の名称について、各校の特色や魅力を表現するものに改められるようにすることや、小学校で1人1台の端末のデジタル環境の整備が進む中、デジタル教科書の使用が着実に進むよう普及促進を図ることなどを求めています。

 

 教科担任制・35人学級などの教員定数に関わる問題を考えるとき、常に頭に置いておかなくてはならない二つのことがある。
 ひとつは定数法、そこから導き出される定数表であり、もうひとつは中央教育審議会だ。
 定数法と定数表については2020年8月の当ブログで触れ、文科省は絶対にこの法律に触れない、触れたとしても財務省が首を縦に振らない、したがって(臨時的な措置は別として)教員の数が増えることはない、それが原則だという話をした。

kieth-out.hatenablog.jp したがって、ここでは中央教育審議会について軽く触れることから話を始める。

中央教育審議会中教審)】

 中央教育審議会というのは文部科学省の省令よって設置された常設の諮問委員会で、Wikipediaによると、
 現在は、「教育制度分科会」、「生涯学習分科会」、「初等中等教育分科会」、「大学分科会」の4つの分科会と、総計約70の部会・委員会がおかれている。また、どの分科会にも属さない、「教育振興基本計画部会」、「地方文化財行政に関する特別部会」の2つの部会がある。
というものだ。
 任期は2年、各界の錚々たるメンバーで組織されている(第10期中央教育審議会委員)。

 文科大臣の諮問によってさまざまな角度から審議し答申を出すのが仕事だが、見方によっては文科大臣の意思にお墨付きを与えるような仕事をしている場所とも言える。繰り返される、
「専門家のご意見もうかがったうえで・・・」
の「専門家」として重宝されるところだ。

 今回、「小学校5・6年生に教科担任制を」という答申を出したのもここだが、委員の顔ぶれを見ればわかる通り、小学校教育の専門家は一人もいない。義務教育からは中学校長が一人、出席しているだけである。これでは現場のことは誰も分からない。

 現場のことを知らない国会議員や大臣・官僚が思いつき、現場を知らない中教審委員が審議する、これで現実的な教育政策が出てくるはずがない。
 彼らが求めているのはより良き未来の社会ではなく、自分がその位置にあるときに何かを成し遂げたという記念碑だけなのである。

【思い違いをしてはいけない】

 現場からは、小学校教科担任制を歓迎する声はほとんど聞こえてこない。実験器具や植物採集などで事前準備が大変な理科や、そもそも指導法を学んでこなかった英語などでは専門の教師がいて欲しいが、中規模以上の学校ではすでに手配されていることも多い。

 一方、今回の答申で全国の小学校の三分の一にも及ぶという1学年1クラス以下の学校にも教科担任として新たな先生を入れてくれるのかというと、そんなことは夢物語だとみんな分かっているから信用しない。ほんとうに理科(週3時間)を代わりにやってくれる先生が来るならそれはありがたいが、その人は5・6年生合わせて週6時間しか授業がないのだ。そんな贅沢を政府が許すわけがない。

 規模の大きな学校でも、そんな余裕があるならむしろ35人以下学級の拡充の方を急げといった意見もある。しかしそれもお門違いだ。

 繰り返すが、
文科省財務省も、教員を増やすことなど全く考えていない
のだ。それが大原則で、そこから半歩もはみ出すことはない。

 ではどうやって教科担任制を行うというのか――。そのヒントがNHKニュースの前日に出た日本経済新聞の記事(2021.01.25 日本経済新聞「さいたま市、小学校で教科担任制導入 23年度に全校へ」)の中にある。

【教科担任制はいかに行われるか】

 それによると、
 さいたま市教育委員会は2021年度から各教科を専門の教員が教える「教科担任制」を市立小学校10校で導入すると発表した。
(中略)
 20年10月に文部科学省中央教育審議会が公表した中間まとめによると、「教科担任制」は22年度をメドに高学年で本格的に導入する必要があるとしている。対象とする科目は外国語・理科・算数などを例示しているが、市内で来年度から導入する10校では国語、社会を含む9科目を分担する。教員の専門性を生かして学校ごとに担当する教員を決めるほか、中学校の教員による指導を取り入れることも検討する。

 注目すべきは、
・学校ごとに担当する教員を決める
・中学校の教員による指導を取り入れる
の2点である。どうやら新たな教員配当をするのではなく、現有の教員だけでやっていくらしいのだが、具体的に何をどうしようというのか?

【小学校の指導時数】

 その前に、まず小学校ではどんなふうに授業を割り振っているか見ておく。

 下は学習指導要領に示された各教科の年間指導時間である。

f:id:kite-cafe:20210130185944j:plain 学校の授業日数は35週(175日)を基準とする擬制で成り立っているから、表の中の数字を35で割ると1週間に実施すべき教科の時数が割り出される。その計算で、例えば第6学年の場合、国語・算数は週5日、社会科と理科は週4日ということになり、道徳・外国語活動・特別活動は週1回ということになる。
 もちろん特別活動(35時間)の中には運動会(6時間)などというのもあるから必ずしも週1時間ずつできるというものではない。

 また、かつてはすべての教科が35の倍数だったために年間を通して同じ時間割で授業ができたが、今は違っている。そのことも考慮しておく必要がある。
 総合的な学習の時間を入れたい、外国語活動も必要、ゆとり教育で算数は減らしたが脱ゆとりでまた増やさなくてはいけなくなった、時数を減らすと言っても図工・音楽を週1回にするわけにはいかないだろう――そんなことをやっているうちに35では割り切れない数字が出てきて、例えば音楽は年間50時間。1年の半分は週2回で後半は週1回、などいうことになっているのだ。音楽会の時期に特設で一気に15時間使ってしまい、あとは1年間、週1で通すというやり方もある。
 このこと自体が大問題だが今は教科担任制だ。

【受け持つ教科を分配する】

 日経新聞の記事によると、さいたま市の場合は9教科を教科担任制にすると言っているからおそらく上の表の国語から体育までの8教科と外国語活動あたりが対象になるのだろう。それを教師たちが専門性を生かして学校ごとに担当を分け合うのだ。

 例えば6年生が2クラスの学校では1組の担任のA先生と2組の担任のB先生が、2クラスの年間授業時間1960時間を公平に分ける。二人はまず、年間175時間で同じ国語と算数のどちらを受け待つか決める。A先生が国語を、B先生が算数を選んだら、1組の算数と同じ時間に2組の国語を入れておいて、A先生は2組に行って国語の授業を、B先生は1組に行って算数の授業をやればいいのだ。これで公平に授業を行うことができる。
 同様に二人は、年間105時間の社会科と理科を分け合う。50時間の音楽と図工もいいだろう。

 困るのは年間55時間の家庭科と90時間の体育だ。時数が異なるのでこれを交換するわけにはいかない。そこで家庭科を選択した教師は必然的に外国語活動(35時間)をセットで受け入れ90時間とする。これでメデタシメデタシだ。教える教科が半分になり、教材研究や指導の方法で大幅に楽なる。

 しかしそれにしても、これで、
各教科を専門の教員が教える「教科担任制」を市立小学校10校で導入する
と言っていいものだろうか。

 国語と社会科と音楽と家庭科と外国語活動を選んだA先生は、必ずしも国語と社会科と音楽と家庭科と外国の専門家ではない。
 もちろん授業交換に参加する教師を増やせば増やすほど、一人の教師が受け持つ教科は減って行って最後は一人一教科となる。5・6年生に限らず全校で教科担任制を行えばうまく回っていくような気もする。

 しかしその場合、週5時間の国語や算数の先生は4クラスしか受け持てない(自分のクラスの道徳や総合的な学習の時間があるため)のに対し、音楽の先生などは14クラスも担当しなくては他の先生との公平が保てない。しかも5・6年生だけで15クラスもある学校など、めったにあるはずがないのだ。
(もっともその前に各クラスの時間割自体が作成できないだろう。普通の学校は体育館も理科室も音楽室などもひとつしかない。全校同じ時間に音楽を入れることなく、同じ先生が同時に二クラスの音楽の授業を行わないといったことが体育や理科や図工なので同時に起こるのだ。それをすべて満足させる時間割など不可能だ)

 そもそも全国の小学校の三分の一は1学年1学級以下なのだ。定数表によれば1学年1学級つまり6学級の学校の教諭の数は7名である。これでどうやって9教科を分け合えばいいのか。

【中学校の教師を利用する】

 そこで目をつけられたのが中学校の先生である。
 例えば数学で言えば、授業時数は中一で週4時間、中二で週3時間、中三だと週4時間だ。一学年一クラスの学校だと週11時間。二クラスの学校でも週22時間しか授業がない。
 学級担任を持っていれば無理だが、そうでなければ週の最大の持ち時間である28時間までにまだ6時間もある。その時間に小学校へ行ってもらおう。小学校の5・6年生の算数は週5時間。中学の先生にやらせてもまだ1時間の空きがある。

 このとき発案者の頭の中には、中学校の教員が常に殺人的な過重労働にさらされていることはない。各校に「どこでもドア」を配置してこなかったことも、そもそも中学校の数学の先生が小6の算数をよりよく教えられるかどうか分からないということも、全部忘れられている。単に数字を動かしているだけのことだ。

 さいたま市内には3学級しかない小規模中学校がたくさんあって小学校が隣接されているといった特異な事情があれば可能だが、どう考えても一般的ではない。さいたま市はそれをどう果たそうというのか。今後の動向を注意深く見守りたい。たぶんロクなことにはならないと思うが―-。

【では結局どうなるのか】

 最初の記事に戻ってみる。
 導入の対象は、算数、理科、英語の3教科である。

 現場の先生方からすれば、これまで教えてきた算数や理科はまだしも、慣れない英語科に教科担任が来てくれればありがたいはずだ。しかし週1時間(5・6年生だけで8クラスもあるような学校でも週8時間)のために正規の教員を増やしてくれるはずもない。

 それでは結局どうするのかというと、今月26日に発表された中教審答申(「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現)には教科担任制実施にむけて、大きく分けて二つのことが書かれている。

 ひとつは「いまだって教員定数を増やさないまま音楽や図工、家庭や体育で専科の教員を配置できているのだから、算数や理科、英語についても何とかしろ」ということである。
 暗に《国は面倒を見ないが、市町村は自腹で何とかできるだろう。隣の市町村で始めたのに、財政難を理由にやらないという選択肢はないはずだ》
と言っているようでもある。さらに穿って考えれば、《図工や音楽なんてどうでもいいじゃない! そんな専科はやめて、その分で算数や英語の教師を雇おうよ》と言っているとさえ受け取れる。恐ろしいことだ。

 もう一つは現在教職にある人たちの校種間異動(小学校と中学校)をさらに促進すること。特に中学校の数学・理科・英語科の教員に小学校の免許を取らせ、小学校で教えることができるようにする、そのためには現職の中学校教員について簡単な講習だけで小学校免許を取得できるようにする、
 大学においても小中両方の免許を取得する学生を増やすこと。(しかし負担が大きくなると教員志望がさらに減ってしまうので)その際、特例を設けてできるだけ簡単に複数免許が取れるようにする、
 結局、小学校の高学年に数学や理科、英語の免許をもつ教員を集中させ、さいたま市の取り組みのところで説明した「授業交換」によって教科担任制を実現しようというものだろう。

 つまり中央政府の誰かが、
「私が小学校の教科担任制を実現したのだ」
と誇るため、市町村や現場教師が死ぬほど苦労するだけのことだ。

 ところで小学校の教科担任制、そこまで苦労して実現しなくてはならないものだろうか?
 中学校の数学や理科の先生の方が小学校の算数や理科を教えるのがうまいというのはほんとうだろうか?
 私は、中学校の社会科教師として10年も働いた後で小学校に異動したが、専門であるはずの社会科でエライ苦労をさせられた。中学校と小学校の授業は同じものではない。ましてや中学校の授業を薄めてやれば小学校の授業になると考えるのはとんでもない思い違いである。
 小学校英語は多少の支援が必要だとしても、一流の教育職人である学校の先生たちなら、あっという間に何とかしてしまうだろう。
 教員を増やさずに行う教科担任制なら、是非ともやめていただきたい。

 

《参考》
令和3年1月26日 中央教育審議会
「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(中教審第228号)P.44~

3)義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方
①小学校高学年からの教科担任制の導入

  • 義務教育の目的・目標を踏まえ,育成を目指す資質・能力を確実に育むためには,各教科等の系統性を踏まえ,学年間・学校間の接続を円滑なものとし,義務教育9年間を見通した教育課程を支える指導体制の構築が必要である。
  • 児童生徒の発達の段階を踏まえれば,児童の心身が発達し一般的に抽象的な思考力が高まり,これに対応して各教科等の学習が高度化する小学校高学年では,日常の事象や身近な事柄に基礎を置いて学習を進める小学校における学習指導の特長を生かしながら,中学校以上のより抽象的で高度な学習を見通し,系統的な指導による中学校への円滑な接続を図ることが求められる。
  • また,多様な子供一人一人の資質・能力の育成に向けた個別最適な学びを実現する観点からは,GIGAスクール構想による「1人1台端末」環境下でのICTの効果的な活用とあいまって,個々の児童生徒の学習状況を把握し,教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする教科担任制の導入により,授業の質の向上を図り,児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要である。
  • さらに,小学校における教科担任制の導入は,教師の持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化により,学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資するものである。
  • これらのことを踏まえ,小学校高学年からの教科担任制を(令和4(2022)年度を目途に)本格的に導入する必要がある。
  • 導入に当たっては,地域の実情に応じて多様な実践が行われている現状も考慮しつつ,専科指導の対象とすべき教科や学校規模(学級数)・地理的条件に着目した教育環境の違いを踏まえ,義務教育9年間を見通した効果的な指導体制の在り方を検討する必要がある。また,義務教育学校化や広域・複数校による小中一貫教育の導入を含めた小中学校の連携を促進する必要がある。
  • 新たに専科指導の対象とすべき教科については,既存の教職員定数において,学校規模に応じて音楽,図画工作,家庭,体育を中心とした専科指導を実施することが考慮されていることや,地域の実情に応じて多様な実践が行われている現状を踏まえ,これらの点に引き続き配慮することに加えて,系統的な学びの重要性,教科指導の専門性といった観点から検討する必要がある。その上で,グローバル化の進展やSTEAM教育の充実・強化に向けた社会的要請の高まりを踏まえれば,例えば,外国語・理科・算数を対象とすることが考えられる。当該教科の専科指導の専門性の担保方策や専門性を有する人材確保方策と併せ,教科担任制の導入に必要な教員定数の確保に向けた検討を進める必要がある。

②義務教育9年間を見通した教師の養成等の在り方

  • 現行制度においても,大学で最初に取得した教諭の免許状を基礎として,勤務経験と講習の受講の組み合わせによって他の学校種の教諭の免許状を取得することや,中学校教諭の免許状を保有する教員が小学校で当該免許状の教科を教えることが可能となるなど,教員免許状に係る学校間の垣根は低くなってきている。
  • 教科担任制の導入なども踏まえ,教師には,一層,学校段階間の接続を見通して指導する力や,教科等横断的な視点で学習内容を組み立てる力など,総合的な指導力を教職生涯を通じて身に付けることが求められる。このため,教員養成段階では,小学校教諭の免許状と中学校教諭の免許状の両方の教職課程を修了し,両方の免許状を取得することが望ましいが,2つの教職課程を同時に学生に求めることは学習範囲も広範にわたり,負担が大きい。
  • このため,従来,小学校と中学校の教職課程それぞれに開設を求めていた授業科目を共通に開設できる特例を設けることにより,学生が小学校と中学校の教諭の免許状を取得しやすい環境を整備する必要がある。
  • また,一定の勤務経験を有する教師は一定の講習を受講することで他の学校種の教諭の免許状を取得することが可能だが,中学校教諭の免許状を保有する者が小学校で専科教員として勤務した場合の経験年数は,現状ではこの勤務年数として算定されていない。
  • このため,中学校教諭の免許状を保有する者が小学校教諭の免許状を取得しやすくなるよう,小学校で専科教員として勤務した場合の経験年数を算定できるよう要件を弾力化する必要がある。

 

《参考2》

www.nikkei.com

さいたま市、小学校で教科担任制導入 23年度に全校へ
(2021.01.25 日本経済新聞

 さいたま市教育委員会は2021年度から各教科を専門の教員が教える「教科担任制」を市立小学校10校で導入すると発表した。小学5、6年生を対象とし、教科ごとに担当教員を設けてきめ細かい指導ができるようにする。導入校でのノウハウを伝授しながら23年度には市内全104校での実施を目指す。

 授業の質向上を目指すと同時に、教員の働き方改革を促すねらい。現在は学級担任が基本的に全ての教科を受け持つが、「教える科目が絞られれば教材準備にかかる時間が減る」(担当者)とみる。

 20年10月に文部科学省中央教育審議会が公表した中間まとめによると、「教科担任制」は22年度をメドに高学年で本格的に導入する必要があるとしている。対象とする科目は外国語・理科・算数などを例示しているが、市内で来年度から導入する10校では国語、社会を含む9科目を分担する。教員の専門性を生かして学校ごとに担当する教員を決めるほか、中学校の教員による指導を取り入れることも検討する。