(写真:フォトAC)
記事
“教員不足 人材の官民間での行き来など仕組み導入を” 財務省
(2022.11.14 NHK)
小中学校の教員の不足が課題となる中、14日に開かれた財務大臣の諮問機関、財政制度等審議会で、財務省は、人材が官民の間で行き来するなど新たな仕組みの導入を提案しました。
教育関連の予算が議題となった14日の会合では、財務省の担当者が、公立小学校の教員の採用倍率について、2000年の12.5倍からことしは2.5倍まで低下している状況を挙げ、質の高い人材の確保が課題だと指摘しました。
そのうえで、
▽官民の間で人材が流動的に行き来する仕組みを導入するなど免許制度や採用方法の新たな仕組みを検討することや、
▽学校ごとの働き方改革の取り組み状況を公表し、国から自治体への補助事業の要件に盛り込むことなどを提案しました。
これに対して委員からは、
▽働き方改革とIT技術を組み合わせて教育の質を高めることや、
▽ビジネスの経験者が教員となるルートの拡充を検討することなどを求める意見が出され、提案に対しおおむね賛同したということです。
審議会では、来年度予算案の編成に向けて、今月末にも財務大臣に対する提言を正式に取りまとめることにしています。
評
【記事の読み解き方】
記事の▽印の着いた部分について、私にはこんなふうに読める。
▽官民の間で人材が流動的に行き来する仕組みを導入するなど免許制度や採用方法の新たな仕組みを検討すること
- もう教育学部卒の学生を教員に採用するのはムリなので、民間企業から人が転職できるよう、誰でも簡単に教員免許が取れるようにしたり、極端に言えば無試験で教員になれるよう制度改革を計る。
▽学校ごとの働き方改革の取り組み状況を公表し、国から自治体への補助事業の要件に盛り込む
- 学校ごとに働き方改革の状況を確認し、労働時間が削減できない自治体からは予算を引き上げ、時間短縮に成功した自治体には厚くするように計らう。やらされる仕事の多すぎる現状での時短は、自主的・意欲的な活動のみが削減対象となり教員の意識が低下するがそれもかまわない。児童生徒および保護者からの要望に応えることも、指導要領に書かれていないことであれば無視してかまわない。
- 教員の仕事の多くはITで代用でき、しかも教員が行うよりはるかにレベルの高い仕事ができるから教育の質の向上にも資する。したがってIT化はよりいっそう推し進めるべきである。
▽ビジネスの経験者が教員となるルートの拡充を検討することなどを求める
- 18歳で教育を志し、教育学部へ進んだような“学校しか知らない人間”は役に立たない。まずビジネス界を経験し、そこで続かなかったり使えなかったりしたとしても、教育学部卒よりはマシである。したがってこの人たちをより多く採用する道筋をつくれ。
【教師はそこまで舐められている】
政府を筆頭に、世の中の人々が等しく学校に対して抱いている偏見は、「教育は子ども相手の楽な仕事だ」というものである。
したがって教員の長時間労働といっても、マルクスが「資本論」に書いた「1日12時間、年間365日、休まず働かされるマッチ工場の少年たち」みたいな印象しかもたない。
そうなると最も確実な労働時間の削減方法として機械化(IT化)と大人(ビジネス経験者)の導入はまことに筋の通った話となる。
だが考えても見るがいい。世の中の大部分の人たちは、自分の子ども一人でさえ思い通りに教育できていない。少なくとも望んだとおりの成長を遂げ、願った通りの成果を上げている子どもなどほとんどいないだろう。
ところが学校は、ひとりの教師が40人もの子どもを相手に、信じられないほど多くの成果を上げている。100点満点とは言わないが、これほど学力が高く、道徳性に溢れ、調和が取れて犯罪の少ない国を、だれが育てたと思っているのだ? そうしたことをすべての国民に平等に、日常的に、計画的に、持続的に行っているのは学校を置いて他にないではないか。
もし日本の学校教育がダメだと言うなら教えてくれ。我々はどこの国(地域)の教育を手本にし、そこに近づければいいのだ?
学力全体は中国、授業時数はドイツの半日学校、道徳はフィンランドのルーテル派宗教教育、数学はインド、英語はオランダ、とか言うなよ。