キース・アウト

マスメディアはこう語った

いよいよ高崎市の学校で、毎朝、数百人の子どもをひとりの校務員に任せようという前代未聞の試みが始まる。出でよ校務員募集に応えるミラクル・フィフティーン。君たちならできると高崎市長は言っている。

(フォトAC)

記事

 

高崎市「小学校7時開門」で校務員が次々と退職…「教員の人権を無視している」と現場は激怒、教職員組合も猛反発する「朝の小1の壁」対策
(2026.02.08集英社オンライン)

shueisha.online

 子どもの小学校入学に伴い、保育園の登園時間より小学校の登校時間が遅いため、朝の子どもの居場所に困る「朝の小1の壁」問題。この問題への対応として、早朝に校門を開ける取り組みを進める自治体が増えている。そうしたなか、群馬県高崎市も今年4月から、市内すべての小学校58校で開門時間を午前7時に前倒しする方針を発表した。

 共働き世帯の支援策のように見えるが、教職員組合らは強く反発している。現場では何が起きているのか。
 (中略)
 校務員の退職が相次ぎ、教員不足の加速も懸念
 すでに、懸念されていた事態も起きている。校務員の退職者が相次いでいるというのだ。
 
 「校務員は『門を開けるだけでいい』と言われても、目の前で子どもが怪我をすれば、対応も求められるのは明らかです。実際、教育次長から『校務員にも安全配慮義務がないとは言えない』という発言が出ています。本来だったら安全配慮義務を負うのは管理職であり、校務員にあるわけがないのです。
 (以下、略)

 これについては昨年11月28日のこの場所で扱っている以上に目新しいことはない。予想通りの反応が起こっているだけのことだ。

kieth-out.hatenablog.jp

 7時開門はまだ始まったことではなく、2026年度4月からの実施だそうだが、始まる前から大問題になっているのは、児童生徒・保護者そして市長にとってむしろ幸いなのかもしれない。いま止めなければいつか必ず大きな事故につながるからだ。
 それなのに市はなかなか止まろうとしない。7時開門を希望する保護者や市長の頭に、
 500人規模の小学校だとするとその500人の大部分が校庭や体育館、教室で暴れまくっている。それをたったひとりの校務員が統括する、
ことの恐ろしさが浮かばないのだろうか。まったく想像できないとしたらその方がよほど恐ろしい。二重に恐ろしい話だ。

 現場の教員はさすがに違う。
 記事によると組合は緊急にアンケートを実施して、2週間で集まった667件の回答のうち「反対」は640件という結果を集めた。ところがそれに対して市教委は、
高崎市には約3200人の教職員がいるため、市教委は『約2割が反対していることは承知している』という言い方をします。つまり『8割は賛成だ』と言いたいのでしょう」
ということになる。もちろん市長に逆らっても何もいいことはないから意をくんで市教委が必死に抑えにかかっている、というところだろうが、誰も納得する話ではない。

 こんなときいつもロクでもないことを思いついて実行しようとするのが政治家。間に入って苦労するのは文科省都道府県教委・市町村教委。アホだ、バカだと叩かれるのも文科省・教委。まったく割に合わない、気の毒な人たちだ。しかし誰かがやらなくてはならない。形式上、首長の意思は民意なのだ。

 さて、子どもの命のかかることだから、
「言うべきは言った。あとは御覧じろ」
と言う気にもならないが、様子を見るしかない。

 とりあえず現在募集中だという校務員に――数百人の子どもの安全安心を、毎朝一人で背負おうというスーパー猛者が15人も集まるかどうかだ。彼らが十分な仕事をしたら、私たちは彼らを「ミラクル・フィフティーン」とでも呼ぶことにしよう。