キース・アウト

マスメディアはこう語った

緊急事態宣言下だというのに、一部の学校では「給食」という名の大規模会食会のために子どもを登校させている。学校は最低限、子どもに飯を食わせていればいい、教師の仕事は給仕だとみんなが思っている 。

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(写真:フォトAC )


記事

 

給食時間だけの登校OKも 学校の感染対策   

SankeiBiz 2021.09.17)

www.sankeibiz.jp 新型コロナウイルスの感染が子供にも広がる中、学校現場では給食の時間も対策が求められる。配膳の感染リスクを減らすため、パンと牛乳などの簡易な給食にする学校もあるが、保護者らからは「栄養が乏しい」「量が少ない」といった声も上がる。感染対策と、成長期の子供の栄養を両立させるため、学校関係者の試行錯誤が続いている。

 

会話せず黙々と

 東京都西東京市保谷(ほうや)第二小学校の2年2組の教室。16日午前、通常より早く給食の時間が始まった。この日のメニューはミートソーススパゲティと牛乳。廊下にはあらかじめお皿に盛られたスパゲティが並べられ、児童は受け取って自分の席に戻り、順に食事を始めた。全員が前を向いて無言で食べる。日直の「いただきます」の号令や、班で楽しくしゃべるような給食の風景はない。

 西東京市の小中学校では感染防止のため、6日から小学2年以上はオンライン授業を実施。ただ、給食の時間のみは登校を認め、学校で昼食を取れる。

 通常は午前の授業は4時間目までだが、オンライン授業実施期間中は3時間目で止め、4時間目は登校の時間に当てる。密を避けるためクラスを半分に分け、給食の時間を2部制とした。8~9割ほどの児童・生徒が給食を食べに登校しているという。

 市教育委員会の荒木忍・統括指導主事は「昼食を用意するのが難しい家庭もある。子供たちが困らないようにしたい」と話す。この取り組みを始めて1週間。子供からは「給食の時間だけでも友達や先生に会えると安心する」といった声もあるという。

(中略)

 一方、埼玉県戸田市でも厚木市と同様の簡易給食を3~10日に提供したが、簡易給食の写真がSNSで拡散され、市に「量が少なすぎる」「栄養が足りない」といった苦情が80件以上寄せられたという。

(以下、略)

 

【緊急事態宣言下の学校で大規模会食会――】

「不要不急の外食は避けよ」「会食は4人まで」「マスク会食の推奨」「テレワークの推奨」等々言われる時期に、

小学2年以上はオンライン授業を実施。ただ、給食の時間のみは登校を認め、学校で昼食を取れる

とは!

 いくら、

密を避けるためクラスを半分に分け、給食の時間を2部制とした。

とはいえ、さらに教師のやることだから感染対策はかなりがんばっているだろうにしても、

8~9割ほどの児童・生徒が給食を食べに登校しているという

状況では本気でクラスターの発生の心配をしなくてはならない。なぜこうまでして子どもに食わせなくてはいけないのか。

 

 こんなことをしているから、

学校の常識は世間の非常識

などと言われるのだ。

 

 しかも学校が独断でやっているわけではなく、市教委の指示らしいのだ。

 一方、記事にした産経新聞はよいところに目をつけながら、“市の指示による学校の大規模会食会”をまったく問題だと感じていない。それどころか、

「量が少なすぎる」「栄養が足りない」

などとお門違いの非難を載せている。

 まったく呆れたものだ。

「給食時間だけの登校OKも 学校の感染対対策」――給食登校が感染対策だというタイトルがどれほど惚けたものか、それにも気づいていないのだ。

 

 

【学校は教育機関ではなく、主な機能は給食サービスだったという証明】

 かつて「学校のスリム化」という言葉があった。その時やり玉に挙がったのが部活で、しかしどうしてもそれがなくせず、部活で争っているうちにエネルギーが切れで諦められてしまった。けれど仮に部活が整理できたとして、その先はどこまで“スリム化”するつもりだったのだろう?

 

 コロナ禍は図らずも答えを教えてくれた。学校が最後にひとつだけ残すとしら、それは給食なのだ。

「昼食を用意するのが難しい家庭もある。子供たちが困らないようにしたい」

 それがすべてである。

 

 表向きは「子どもの学びを守る」と言っているが、実際に守りたいのは“昼食の用意しなくて済む”という家庭の既得権である。それを守らなければ行政は非難の十字砲火にあい、緊急事態宣言下の給食投稿登校を批判すればマスメディアといえど再起不能なまでに炎上する。総選挙も近い、学校給食だけは止められない――。

 

 学校は教育機関ではなく給食サービスの機関である。そのことは、

 廊下にはあらかじめお皿に盛られたスパゲティが並べられ

と実際に準備したのが誰なのか、それを考えればわかることである。