日本人の英語力が延びないのは教育のせいではない

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 日本人の英語力は世界で53位
 低い方だそうだが
 
実は20歳まではほぼ平均なのだという
 大人になってからの英語力が延びていかない
 果たしてそれは教育のせいなのだろうか

 

 記事




2019.12.03

日本人の英語力、世界で53位は低いのか?
9年連続下落中のランキングを止めるには。

[シェアーズカフェオンライン 12月 3日]

 2019年11月11日に、英語能力のベンチマークのひとつである「EF EPI英語能力指数2019年版(※注)」が発表されました。日本の順位は100か国中53位。前年の49位からランキングを落とし、9年連続の下落という結果です。

 アジアの25地域においては11位。6位の韓国、7位の台湾、8位の中国、10位のベトナムの後塵を拝しています。

(中略)

 しかしここでは全体のランキングだけでなく、もう一歩中身に踏み込んで見てみたいと思います。すると、日本もそう悲観すべきことばかりではなさそうなことがわかります。年代別の平均スコアに着目すると、20歳までは世界平均より高いからです。

 年代別の結果を参考にしながら、日本における英語学習の方向性や意識改革の可能性について考えたいと思います。

(中略)

■日本の英語力はずっと横ばい。世界のスコアは徐々にアップ。
 今回同試験を受験した100地域、230万人全体の平均スコアは53.13。それに対して、アジア平均は53.00、日本は51.51です。いずれの平均をも下回っています。

 次に年代別で見てみます。すると、世界との開きが見られるのは21歳以降で、冒頭で述べたとおり20歳までは世界平均を上回るスコアを出していることがわかります。

「18~20歳」では日本が53.00に対して世界は52.99。わずかながら、日本は世界平均の上を行きます。

 ところが「21~25歳」では日本の52.45に対し世界は53.08で、世界平均よりやや下。「26~30歳」では日本の53.22に対し世界平均は54.36、とますます差が開きます。

 以降「31~40歳」では日本の49.48に対し世界が52.45、「41歳以上」では日本の47.59に対し世界が50.79となります。

 この結果から見えるのは、日本が18歳から30歳にかけては「53.00→52.45→53.22」とほぼ横ばいスコアである一方、世界平均は「52.99→53.08→54.36」とスコアが上昇しているという現象です。

 つまり、世界では学校を卒業し社会人としてキャリアを積む過程で英語力を伸ばしており、一方で日本では社会人になった時点で英語力の伸びがストップしていることになります。
(以下、略)

 

 


【日本人は大人になってから英語を伸ばせない】

 私も「EF EPI英語能力指数2019年版」は検討したが、年代別のスコアまでは目がいかなかった。
 今回同試験を受験した100地域、230万人全体の平均スコアは53.13。それに対して、アジア平均は53.00、日本は51.51です。いずれの平均をも下回っています。
 次に年代別で見てみます。すると、世界との開きが見られるのは21歳以降で、冒頭で述べたとおり20歳までは世界平均を上回るスコアを出していることがわかります。

 それを発見したのがこの記事の筆者の手柄だ。さらに引用すると、
 
 日本が18歳から30歳にかけては「53.00→52.45→53.22」とほぼ横ばいスコアである一方、世界平均は「52.99→53.08→54.36」とスコアが上昇しているという現象です。
 つまり、世界では学校を卒業し社会人としてキャリアを積む過程で英語力を伸ばしており、一方で日本では社会人になった時点で英語力の伸びがストップしていることになります。

 “そうだろう”“そうだろう”と
 私は心の中で拍手する。

 ところが先まで進むと、
 ここで筆者の頭に浮かんだのは次の疑問でした。大学入学時までの学習方法は間違っていないけれど、その後の大学もしくは職場の英語環境に課題があるから伸びないのか? それとも、大学入学までの学習方法が間違っているから、それが伸びない原因を作っているのか?
 え?
 後者の発想は私にはなかった。

 

【なぜ日本では大人の英語力が向上しないのか】

「高校までの日本の英語教育はさほど間違ったものではない」
ではいけないのか?

 それに対して記事の筆者はこう言うのだ。
留学生の動向から考えると原因は後者、すなわち「大学入学時までの学習方法が間違っているから、それが伸びない原因を作っている」のほうにやや軍配が上がります。
間違いとは何か? それは小学/中学校時代に英語を嫌いにさせてしまっているケースが少なくない点です。

 思わず“論拠は?“”証拠は?と言いたくなる箇所だ。

 筆者はこのあと、大学の専門課程に進むころには英語の単位の必要ない学部も多くなり、学校教育ですっかり英語嫌いになった学生たちはさっさと学習をやめてしまうといったような話を始める。だからその後、英語力は伸びないのだと。

 だが筆者の言うことが事実だとすると、韓国、台湾、中国といった国々では英語嫌いにされずに済んだ大学生や大人たちが二十歳を過ぎても学び続けているということになる。いたい何のためにしてるのだ?

 さらに言えば、韓国・台湾・中国はOECDPISAテストでも多くの項目で日本より上位の成績を上げる常連で、なおかつ大学入試の過酷さで特に有名な国・地域である。
 あれほどの受験地獄で締め付けながら、なおかつ英語嫌いにならず、学力も高く、大人になっても学び続ける夢の教育法を、なぜ世界は真似しないのか、その点も新たに問題となろう。

 

【英語力が収入に直結する国】

 私は筆者の考え方に同意しない。彼女の発見した、
「「18~20歳」では日本が53.00に対して世界は52.99」
という事実は、
「高校までの日本の英語教育はさほど間違っていない」
ことの証拠だと思う。
 その理由は彼女の記事の続きの中にある。
 
 海外の語学学校で日本以外からの留学生たちに話を聞くと、外国語が「特に好きでも嫌いでもない」という意見にたくさん出くわします。とりわけ欧州や南米出身学生の場合、英語を学ぶことは単純で自然なことであり、義務でもないし、かといって大好きというわけでもありません。
 そうだ、欧州や南米では英語を学ぶことは単純で自然なことなのだ。

 もし日本人の英語力を全体的に底上げしたいのであれば、英語を使える便利さに気づいてもらうのが近道です。義務感で勉強は続けられません。
 これも正しい。英語力の高い国や地域の人々は英語を使える便利さを知っている。

 例えば韓国の貿易依存度(GDPに対する貿易額の比率)70.31%に対し、日本のそれは29.3%しかない。ほかに記事で名前の挙がった国で調べると、ベトナムが195.38%、台湾が108.76%、中国でさえ32.63%だ。(グローバルノート 世界の貿易依存度 国別ランキング・推移

 K-popアーチストはなぜあれほど英語にも日本語にも堪能なのか――それは世界の音楽市場の43.7%をアメリカが握り、34.6%を日本が握っているからだ。第3位のドイツは12.8%しかない。だから彼らはドイツ語までは学ばない。(ガベージニュース「世界の音楽メディア市場動向をグラフ化してみる」)。

 こうした国々にとって英語は使える便利さを知っているといった呑気な話ではない。国全体が貿易に頼っている以上、英語力そのものが収入と直結する。そのことは記事の筆者自身が文中で語っているではないか。
世界では学校を卒業し社会人としてキャリアを積む過程で英語力を伸ばしており
 つまり仕事をする過程で、日々英語を使っているということだ。

 翻って日本はどうかというと、少なくともJ-popは大挙して韓国にも中国にもアメリカにも行かない。外国で新人として再スタートする時間に、日本で稼げる収入が膨大だからだ。
 外に行けばそれだけ損。だから彼らは英語習得にも熱意がない。

【英語が身近ということ】

 記事の筆者は最後に、フィンランドで20代の女性にインタビューした経験を記している。

 フィンランド語が公用語でありながら、多くのヘルシンキの人たちは流ちょうな英語を話します。なぜそんなに英語ができるのか、彼女は自分の経験から理由の一端を話してくれました。
「私の小学校では、英語を学ぶ授業というのはあんまりありませんでした。その代わり、いろんな国の文化や社会、歴史について学びます。〇年生では“アメリカについて知りましょう”という授業を英語を交えながらやり、また〇年生では英国について、そしてまた次の学年ではカナダについて、といった具合です。」


 フィンランドの貿易依存率は53.85%、ベトナムや台湾・韓国と比べるとかなり低いが、貿易立国としての歴史が違う。何百年も前からイギリスやヨーロッパ諸国との交易を続けてきている。

 人口は551万人と日本の兵庫県程度しかいないから、商売の相手に外国を考えずに済ませることはできない。
 人口が少なすぎて翻訳書籍もフィンランド語吹き替えの映像商品もなかなかつくれない。
 テレビの洋画劇場に吹き替えがつくことはないし、幼児番組でさえ英語のままだ(たぶん字幕はつくだろうが、幼児は字が読めない)。
 大学で使う専門書の多くは翻訳されていないから英文の原書を扱うしかない。
 そうした生活を歴史的に長年続けているから両親とも英語が堪能(日本ではありえない)。
 (実川真由 /実川元子  著「受けてみたフィンランドの教育《文藝春秋 2007》より())
 *「ああ言えばこう言う辞典」→「毒書収監」→「受けてみたフィンランドの教育」を参照のこと

 筆者のインタビューした女の子が、
 私の小学校では、英語を学ぶ授業というのはあんまりありませんでした。その代わり、いろんな国の文化や社会、歴史について学びます。
などと呑気なことを言っていられるのはそのためである。
 両親ともに英語が堪能で、本人も幼児期から英語の子ども番組を見ている。テレビを見てもDVDを借りてきても「吹き替え」ということはまずなく、ちょと難しい専門書を手に入れようとしたら母国語のものはない――英語を学ぶことは単純で自然なことという社会はそういうものだ。

 日本人が英語ができないのは、学校教育が悪いからではない。英語力をつけるための条件があまりにも少ないからだ。
 日本へ英語が必須の国ではないが、私はそれでいいと思っている。