(写真:フォトAC)
記事
文化系部活に地域の先生 専門的技術を指導 金沢・野田中 教員の負担も軽減
(2022.07.20 北国新聞)
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●市教委、23年度拡充へ
金沢市教委は19日までに、地域住民が生徒の部活動を指導する制度を野田中の文化系部活で試験導入した。文化系では県内初の試みで、専門的な技術に精通した文化団体の役員らが生徒への技術指導を行っている。教員の負担軽減にもつながり、市教委は来年度以降に他校に順次拡大する方針だ。
(中略)
合唱部で指導に当たるのは、県合唱連盟理事長を務める粕谷雪子さん(66)=土清水1丁目=で、週末や平日の放課後に、歌唱時の発声や呼吸法など専門的な技術を生徒に教えている。
3年前まで同校音楽科の教員を務めていた粕谷さんは「子どもの指導は教えがいもあって、こちらも楽しい」とやりがいを感じている。合唱部顧問の山本光太郎教諭(35)は「これまで他校では吹奏楽部顧問をしていたので、技術的な面を指導してもらえるのは心強い」と話した。
(以下略)
評
「吹奏楽部の地域移行、受け皿があるわけがない」
そう書いたばかり(*)なのに、あった。こちらは合唱部なのだが、退職教員が引き受けてくれるらしい。
考えてみれば合唱や吹奏楽の経験者は大勢いても、指導の専門家となるとほとんどいない。金沢市の言う、専門的な技術に精通した文化団体の役員も、中身は退職してから文化団体の役員になった元教師だ。だったら最初からそう言えばいいのに、体裁が悪いのか「地域の人材はいた」という形にしたのかもしれない。
たしかに土日のどちらかで2時間の練習をしてくれ、週日も朝晩合わせて3時間の指導をし、部員たちの人間関係を調整したり生徒指導的事案にも関わったりしてくれる――それだけの技量があり、生徒を育てることに情熱を持ち、しかもほとんど無償で働いてくれる専門家と言ったら、現役の教員か退職教員しかいない。
退職後は家でのんびりしたいと思っていた元教員も、別に働き口を見つけた人も、学校の危機、部員が路頭に迷う、現職が倒れかねないと聞かされれば、行かざるを得ない。
こうして現役時代は殺人的な超過勤務に苦しめられた教師たちは、退職後も学校への献身的な奉仕を求められるのだ。
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