キース・アウト

マスメディアはこう語った

教育学の専門家たちはどうしてこうも間抜けばかりなのか。今日の教員不足に未来の話をしたり、財務省は金を出さないと言っているのに金を出させる話をしたり、学習内容も考えずに時数削減を言い始めたり――それを取り上げるメディアもメディアだ。

(写真:フォトAC)

記事


新年度の教員不足「公立小の2割」 大学教授ら調査「子どもの危機」
(2023.05.10 朝日新聞デジタル

www.asahi.com

 新年度を迎えた4月に、公立小中学校の2割ほどで「教員不足」が生じている――。10日、そんな調査結果を大学教授らのグループが発表した。「教員がいないことでダメージを受けるのは子ども。一刻も早い改善が必要」として、背景にある長時間労働の解決やなり手不足の解消に向けた緊急提言を発表した。

 教員不足は、児童生徒の転入により学級数が急に増えるなどして必要な教員数が増えたり、産育休や病休で代わりの教員が必要になったりした際、代役の教員を補充しようとしても確保できず、欠員が生じることを指す。

 調査は今年4~5月、全国公立学校教頭会を通じ、公立小中学校の一部に呼びかけて実施。小学校1243校、中学校542校から回答があった。今年度の始業日時点で教員不足が生じているか聞いたところ、小学校の20・5%、中学校の25・4%が生じていると回答。うち2人以上不足していたのは小学校で4・9%、中学校で7・6%だった。

 不足が生じている学校に、どう対応しているか選択肢を示して聞いたところ、小学校では「本来は学級担任でない教員を充てている」が29・8%と最多。中学校では「(教員の欠員が生じている教科の)免許を保有する教員がおらず、臨時免許の発行で対応している教科がある」が31・4%と最も多かった。

(中略)

■「教員配置の充実を」 調査グループが緊急提言
 調査を実施したグループが同時に発表した緊急提言では、教員のなり手不足への対策として、学生時代に借りた国の奨学金の返済を、教員になった場合に免除する制度や、代役を担う教員の人材バンクの整備などを提案した。また、教員の長時間労働が問題となっていることを踏まえ、時短勤務ができる環境整備、週3日勤務など柔軟な働き方の実現や、各校で業務改善チームを育成することなども挙げた。

 さらに、教員1人当たりの持ちコマ数に上限を設定するといった制度改正により、教員配置を充実させることも提案した。記者会見で末冨芳・日大教授(教育行政学)は、教員不足で担任不在の学級が生じていることについて「特別支援学級でも担任不在の時間がある。不登校にもつながりかねず、子どもの危機と捉えて対策するべきだ」と指摘した。(高浜行人)

 結局こいつら何も分かっていないじゃないか、という話。こんな与太話を記事にする朝日も朝日だ。

【これが専門家の考えた対策と言えるのか?】

 本年度4月に全国の小学校の5分の1、中学校の4分の1で欠員が生じているという緊急事態に際し、
学生時代に借りた国の奨学金の返済を、教員になった場合に免除する制度
→悪くはないが、これ来月から補充の教員が来てくれるか?

代役を担う教員の人材バンクの整備
→そんなものは都道府県教委にも市町村教委にもあるが払底しているのだ。

時短勤務ができる環境整備
→中身を言え!

週3日勤務など柔軟な働き方の実現
→よう言った。勤務日数週1日6時間減。年間200日体制から160日体制の時代へ。さて、減った40日分計240時間はどの授業を削るのだ? 内容はそのままに、全教科の授業時数を5分の4に圧縮して詰め込めとでもいうのか?

各校で業務改善チームを育成すること 
→勝手に仕事を増やすな!

さらに、教員1人当たりの持ちコマ数に上限を設定するといった制度改正――そんなことをしたら児童生徒の学力低下は必至だろう。何せ授業が大幅になくなってしまうのだから。
 え? だからそうして教員定数の拡大を促すって?
 冗談じゃあない。財務省は小学校の35人学級実現のために教員増で手いっぱいなのだ。もうこれ以上、教員増加のための予算は1銭も出さないと言っている。いわゆるコロナ予算は流行が本格化した令和2年度だけでも総額77兆円ものぼったのだ。どうたたいたところでビタ一文出すはずがない。
 それを承知で、持ちコマ数の上限を持ち出すなど、知恵の空財布を振り回して2年前のレシートが落ちて来たみたいなものだ(?)。

【何ができるかは素人でも分かる】

 効果的な対策は私のような素人でも分かる。要するに、火急喫緊でない仕事は一時停止にすればいいのだ。
 平成以降に加わったいわゆる追加教育――総合的な学習の時間もキャリア教育も、小学校英語もプログラミング学習も、食育も薬物乱用防止教育も、どれもこれもレベルの高い価値ある教育だが、算数・数学や国語を犠牲にしてまで行うべきものではないだろう。とりあえず休止。
 あるいは教科以外で平成以降に新たに課せられたもの、全国学力学習状況調査、教員自己評価・授業評価・学校評価・管理職評価、保護者評価・児童生徒評価。通知票や指導要録の総合的な学習の時間および特別の教科道徳の記入欄。各種報告書、対応記録もとりあえず停止。すべてをいったん昭和レベルまで戻す、それだけでも違うし、1銭の金もかからない。
 しかし大学教授たちは考えない。ただマスコミを呼んで世迷いごとを語り、注目されればいいだけなのだ。いつかマスメディアに呼んでもらい、収入に繋がる日が来るのかもしれない。