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精神疾患で休職の教員過去最多 初の6000人超 ――悪いのは教員たちだと文科省は言った。

(写真:フォトAC)

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精神疾患で休職の教員過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率
(2023.12.22 NHK)

www3.nhk.or.jp

 うつ病などの精神疾患で昨年度休職した公立学校の教員は1割余り増えて6539人と、初めて6000人を上回り過去最多となりました。20代の増加率が高く、文部科学省は「職場環境は非常に深刻で、教員不足の中で若手をどうサポートするかが課題だ」としています。
こうした現状を踏まえ、新卒教員を対象に担任業務の負担を軽減する取り組みを始めた県もあります。


過去最多となった精神疾患で休職した教員
文部科学省によりますと、昨年度、うつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は、
▽小学校で3202人、
▽中学校で1576人、
▽高校で849人、
▽特別支援学校で872人などで、
合わせて6539人となり、前の年度より642人、11%増えて過去最多となりました。

NHK)

6000人を上回るのは、調査を始めた1979年以降初めてです。
このうち1270人は、ことし4月時点で退職しています。

年代別では、
▽20代が1288人、
▽30代が1867人、
▽40代が1598人、
▽50代以上が1786人となっていて、
中でも20代は、この5年で1.6倍以上に増え、人数に占める割合も2018年度には0.54%でしたが、0.84%に増えています。

このほかにも、精神疾患で有給休暇を使って1か月以上休んでいる教員も全体で5653人いて、休職中の教員と合わせると1万2192人に上っています。

要因について文部科学省は…
要因について文部科学省が各教育委員会に聞いたところ、
▽教員間での業務量や内容のばらつき、
▽保護者からの過度な要望や苦情への対応のほか、
▽コロナ禍で児童生徒や教職員間でのコミュニケーションの取りづらさがあったことなどが挙げられたということです。
(以下、略)

 

【教職員の精神疾患による休職者6000人超の衝撃】

 長らく教職員の精神疾患による休職者はおよそ5000人超と言っておけばよかったが、ここにいて一気に11%も増えて6000人の大台に乗ってしまった。
 年代別では、
 ▽20代が1288人、
 ▽30代が1867人、
 ▽40代が1598人、
 ▽50代以上が1786人となっていて、
とあるが、年代別教職員数に最初から差があり、20歳~22の教員というものがほとんどいない以上、20代の1288人は相当な数と言える。また、この人たちが一定期間休んだあと元気になって、以後、生き生きと働くようになったというならよいが、多くは問題を抱えながら、その後の教員生活を続けて行くことになる。
 また、病気を機に退職するにしても、その後の人生が明るいとは限らない。最初から教職員以外の道を歩むのと、心を癒してからその道を歩むのとでは、まったく異なるからだ。
 
 想像してみるがいい。人生90年の時代に20代で躓いて、あとはその重荷をずっと引きずっていく――そんな人生を生み出させていいはずがないではないか。

【誰が、どこが、何が、悪いのか】

 ではどこに原因があるのか――。
要因について文部科学省が各教育委員会に聞いたところ、
▽教員間での業務量や内容のばらつき、
▽保護者からの過度な要望や苦情への対応のほか、
▽コロナ禍で児童生徒や教職員間でのコミュニケーションの取りづらさがあったことなどが挙げられたということです。

 分るか? 文科省の分析によれば、
 最初に、教職員が公平に業務を割り振っていないからいけないのだ。そして保護者も悪い。コロナ禍が悪かったのはもちろんだが、その中で児童生徒や教職員たちがコミュニケーションをしっかり取らなかったことに問題がある(教育委員会文部科学省も国会も内閣も悪くない)。
ということを言っているのだ。

 業務が多すぎてシンドイということは国中のみんなが知っていることなのに、文科省はひとを増やそうとも仕事を減らそうともしない。絶対にしない。
 あとは都道府県市町村が独自の金をつかって、山形県のように担任業務を割り振る方策を練ってくれと、対応を丸投げしてくる。しかし文科省にももう打つ手はないのだ。
 
 今さら「総合的な学習」だの「特別の教科道徳」だの「キャリア教育」だの「小学校英語」だの、誰かの記念碑的教育施策をなかったことにすることはできない。「全国学力学習状況調査」だの「教員評価」だの、なくした後で問題が発生したらどうするのだ!? 
 教職員の数を増やすと言ったって、予算もなければ――最近はなってくれる人間そのものがいないじゃないか。
 こうなったらもう、行くところまで行ってそこから考えるしかない。精神的疾患による休職者が10万人(全教職員の1割)を越えたら、政治家たちも何か考えてくれるかもしれない――といったところだろうか。