三条市:和食中心の給食に牛乳は変だからと廃止したが、先生たちが大変だとやかましいのでまた始めることにしました。

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記事

小中学校の牛乳ドリンクタイム廃止
   
三条市教委 現場負担配慮 4月から
(2021.03.03 新潟日報

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www.niigata-nippo.co.jp

 新潟県三条市教育委員会は4月から、牛乳を給食とは別の時間に飲む市内小中学校での「ドリンクタイム」を廃止することを決めた。牛乳が米飯給食に合わないなどの理由で2015年度に導入した制度だが、学校現場の負担感などに配慮し、方向転換する。市教委は「今後も、ご飯を牛乳で流し込まないといった食育指導はしていく」としている。

 廃止は、2月26日に開かれた市学校給食運営委員会で了承された。

 ドリンクタイムは国定勇人前市長時代、試験期間を経て、15年の2学期から市独自に導入。当時は完全米飯だった同市の学校給食と牛乳の食べ合わせが悪いことや、よくかんで味わうなど和食の正しい習慣を身に付けてもらうことなどが狙いだった。給食には「当たり前」の牛乳を切り離すことは全国的に注目され、一方では議論も呼んだ。

 牛乳を飲む時間は学校の判断に委ねられていたが、導入直後から、配る手間や時間確保の面から、給食時間直後に設けている学校が大半だった。

 また、過去の同委員会でも「給食後に牛乳だけを飲むのが苦手な子もいる」といった保護者の声が出されたこともあった。

(以下、略)

 

 記事は今月3月3日のものだからだいぶ賞味期限は過ぎてしまったが、気づいたのが最近なのでしょうがない。

 私は毎日かなり熱心に教育関係のネットニュースを拾っているがこの内容は見落とした。いや、もしかしたら全国規模ではほとんど扱われなかったのかも知れない。

 始まるときにはあれほど大きな扱いだったのに、終わるときはひっそり(というか「こっそり」)というのは教育関係ではありがちなことだ。

 

【問題の経緯】

 問題は2014年、米どころ新潟の三条市で週五日の給食がすべて米飯になったところから始まった。その際、当時の市長が「米飯に牛乳は合わないだろう。子どもにはきちんとした和食の伝統を教えたい」とか言い出して、学校給食から牛乳をなくす方向で検討がなされた。

 今、当時を振り返って記事を探すと、元は保護者からの訴えということになっているが、私の記憶では市長の発案だ。もしかしたら財政当局から提案があって教育委員会が抵抗できなかったという話かもしれない。

 

 さらに牛乳廃止の理由として、当時の西日本新聞の記事を見ると、

おかずも魚やつくだ煮、みそ汁など和風を増やしたため、牛乳よりお茶が合う献立となっている。

牛乳を1パック200ミリリットル飲むとおなかに入る食事量は当然減る。まずは主食やおかずをしっかり食べる習慣が、子どもの発育に大切

ということも挙げられたらしい。

 牛乳をなくすことで失われるカルシウム摂取については、

小魚やゴマのふりかけなどカルシウムに配慮した献立を充実させるほか、米飯やおかずの増量で補う

とした。

www.nishinippon.co.jp

 ところがその年の12月から年度内いっぱいの4か月間、試行してみたところ、牛乳ので得られるカルシウムを他の食品で摂ろうとすると著しくメニューが固定化され、実際には困難なことが明らかになって来た。それはそうだろう、毎日、魚と佃煮、粉末煮干したっぷりの味噌汁ではかなわない。たまにハンバーグが出てもシラス入りだったり、カレーの具が肉ではなくてサバやツナばかりだったらやりきれない。

 

 そこで2015年6月、牛乳そのものはなくさず、給食から切り離して「ドリンクタイム」を設け、そこで飲ませることとして9月からの実施に踏み切った。

www.sankei.com

  記事によると、

ドリンクタイムに関しては可能な限り午前中の休み時間などを活用し、時間設定は各校の判断に任せる。

 また休み時間の子どもの負担が増えないように、牛乳は教職員が運んで配ることとなった。

 

 もっとも牛乳のために休み時間を減らされては子どももたまったものではないし、教員もその時間をただ遊んでいたわけではない。結局ドリンクタイムは負担の少ない給食の時間の中に含めることになり、「ごちそうさま」が済んだあとで一斉に飲む方式をとったり、食べ終わった子どもから飲むようにしたりといった学校がほとんどだった。いわば有名無実化していたわけだ。

 

 しかし食事中に牛乳が飲みたい子どもだっているだろう。

 カレーやスパゲッティといった味の濃い洋食だと、合間の牛乳はもってこいという子だっているはずだ(ちなみに私はカレーに牛乳は必須だと思っている)。

 そして今回の仕儀となった。

 

【翻弄される学校】

前市長も市も間違っていない。しかし先生が負担だというのでやめてあげる

 ただ私が気に入らないのは、元にもどった理由が、

学校現場の負担感などに配慮し

とされたことだ。

 

 すでにドリンクタイムが有名無実化した時点から、現場の負担なんかほとんどなかった。牛乳は給食と一緒に給食当番が運んで来ればいいのだし、空ビンは食缶や食器とともに片付ければいい。強いて言えばズルをして早めに飲んでしまう子がいないか見張るくらいの負担はあったかもしれないが、その程度のことを気にしてくれるならもっと別に気遣ってほしいことは山ほどある。

 

 もしかしたら三条市は市独自の牛乳補助を出していて、それを削減したかっただけなのかもしれない。ひとビン5円の補助金でも6000人ほどの児童生徒で1日3万円、年間だと600万円ほどになる。週5日の給食がすべて米飯になるのを機に、その600万円をまるまる浮かそうとして失敗したのが今回のことなのかもしれない。

 

 いずれにしろ「前市長がアホなので」、あるいは「財政当局が無能なので」、はたまた「教育委員会がバカなので」、こうなりましたとは言えないので、先生たちが大変なのでと恩着せがましく言って幕引きをすることにしたのだろう。

 もちろん今回も、

「給食後に牛乳だけを飲むのが苦手な子もいる」といった保護者の声が出されたこともあった

と市民からの要望があった(かのような)話も付け加えることを忘れない。

 結局、上の思いつきに翻弄されただけだが、教員は忙しすぎて新聞を読んでいる暇もないから、どれだけ弄ばれバカにされているか気づかない。気づいても文句を言う余裕がない。

  新潟日報は市の発表を真に受けて、批判もせずに記事にする。もっとも記事にしただけでもマシで、全国紙の大半は見て見ぬふりをするのだ。