キース・アウト

マスメディアはこう語った

ほぼ100%がPTAに入った全員加入時代の保護者除くと、今や誰もPTAに入ったことがない(入っていない)とする不思議なアンケート。それを信じて安易に脱会し組織を潰すと、誰も保護者のために戦ってくれなくなる。組合を失った教職員の二の舞は避けたいところだが、来ないかもしれない危険回避よりも、目の前の面倒回避、かな?

(写真:フォトAC)

記事

 

約4割がPTAで「嫌な体験した」、保護者の本音は? 2000人調査
(2024.03.08 Hint-Pot)

hint-pot.jp

 子どもが小学校入学と同時に加入することが多いPTA。共働き世帯が過半数を占める現代、子どもを取り巻く環境も変わり、PTAのあり方が問われることが多くなりました。SNS上ではPTAにまつわるトラブルなどネガティブな情報が話題になることもあり、実際に運営自体が難しくなっているケースもあるようです。そこで今回、PTAに関するアンケートを実施。見えてきた保護者の本音とPTAの現状について、PTAの専用支援サービスを展開している「PTA’S(ピータス)」代表の増島佐和子さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

 

PTA加入の現状 約6割が「入っていない(入っていなかった)」と回答
 アンケートは2024年2月19日に、全国の10代から60代以上のYahoo!JAPANユーザーの男女2000人を対象に実施されました。(回答者の年齢構成:10代1%、20代4%、30代12%、40代28%、50代34%、60代以上19%、年齢を教えたくない2%)

PTA加入の現状は「入っていない」人が半数を超える(グラフ略)

 まず、PTA加入の現状を確認するために、「今、PTAに入っていますか?(もしくは過去にPTAに入っていましたか?)」と質問。すると、「入っていない(入っていなかった)」との回答が58%と半数を超え、6割近い結果になりました。

 その理由については「もともと入るつもりはない(なかった)」(32%)、「必要ないと思う」(21%)、「加入は任意だった」(18%)という意見が多数。対して、「入っている(入っていた)」理由では「なんとなく入るもの」(37%)、「周りが入っている(入っていた)」(34%)、「必要だと思う」(16%)という声が多く見受けられました。
(以下略)

 にわかに信じがたいアンケート結果である。
 そもそも無作為抽出と異なり、対象となった「Yahoo Japanユーザー」というのが、良いにつけ悪しきにつけ、社会問題に意識の高い、そして多くの場合時間に余裕のある特別な人たちなのだ。それだけでも十分にバイアスのかかった結果が予想される。
 しかしそれを前提としても、
『PTA加入の現状 約6割が「入っていない(入っていなかった)」と回答』
は理解できない数字だ。タイトルに2000人調査とあるが、ほんとうに2000人もいたのか、いたとして2000人は全員が小学生以上の子どもをもつ(あるいは持ったことのある)保護者なのだろうか?

【全員加入時代の50代以上を除くと、誰もPTAに入ったことがない?】

 1%(およそ20人)もいる10代の回答者は全員が19歳だとしても、「12~13歳のときに親になった小学校1年生の保護者」と考えるのが精いっぱいだろう。2年生の親だの3年生の親だのというと、親になった年齢がどんどん下がってしまう。Yahoo Japanユーザーに限って出産年齢が早いとか、早熟な男子が多いというのも考えにくい。

 あるいは逆に、回答者の53%にあたる50代以上(50代34%+60代以上19%)の大部分が「PTA全員加入の時代」の保護者だったにもかかわらず、現在『PATに約6割が「入っていない(入っていなかった)」』が事実だとすると、40代以下(47%)の全員が非PTA会員で、なおかつ「PTA全員加入時代にも関わらず敢えて入らなかった人」が50代以上に11%もいたと仮定しなければ計算が合わなくなる。そうしないと「約6割(58%)がPTA未経験者」という状況は達成できないのだ。
 調査対象の2000人の中に現役のPTA会員は一人もいない。それなのにPTAに関する調査を行う、かなり異常な状況である。
 
 私はHint-PotやYahooが嘘をついていると考えているわけではない。
 回答者に相当な数の「(未婚などの理由で)子どもがいない人たち」と、子どもはいてもPTAに強く批判的で、活動に参加しなかった人たちがいて、彼らが積極的にアンケートに答えたのではないかと疑っているのだ。
 そもそもがPTA活動に批判的な人々によってアンケートが採られ、記事がつくられたのではないか。

【アンケート内容も恣意的だ】

 アンケート内容を見ても、2番目の項目からして、
「PTAがあったことで嫌だったことはありますか」
と恣意的だ。普通ならこう質問する。
『質問1で、「PTAに入っている」または「過去に入っていた」と答えた方に聞きます。
PTA活動はどうでしたか? 「よかった」または「いやだった」でお答えください』
 嫌だったことがあるという前提では質問しない。
 記事は全体的にPTAに批判的であり、したがってこの記事やタイトルを見ただけで、
「ああ6割もの人たちが入会していないのだ。だったら辞めよう」
と考えるのは早計であろう。

 ネットメディアもマスメディアも信用ならない。人々の不満や不安に火をつけ、煽って炎上させ、記事を売ることに余念がない。記事が売れるなら国がどうなっても、人々がどうなってもかまわないのだ。

【負け犬の遠吠え:集団として誰も学校に物申さない時代が近づいている】

 私は、PTAは絶対に保護者のために必要なものと思っている。これを守るために、保護者は汗を流すべきだと思う。

 前回、3月1日の記事で私は、
『日教組の組織率が2割を切った。教職員の代表者たちは尾羽打ち枯らし、何のパワーも持たなくなった。おかげで彼らのナマの声は政府に届かず、大切なことは雲の上で決まってしまう。そして教職員たちは「働き方改革」という名の賜物が、天から降ってくるのをひたすら祈り、指を咥えて待っているだけなのだ』
と書いた。
 批判したのは現役の教職員たちではなく、積極的に組織を支えようとしなかった私自身と私たちの世代だ。しかし同時に、弱者が組織を失うことの切なさ、苦しさも訴えたつもりだった。けれど今も若い世代は町内会やPTAを無用の長物、迷惑な存在としか考えない。
 
 確かに面倒だ。しかしPTAがなくなったら、誰が学校や教師を監視するのだ? いざという時、誰が代表して抗議し、説明を受けに学校に行ってくれるのだ? 連日連夜、保護者会を開いてもらうのか? 参加し切れるのか? そもそも誰が保護者会を開くよう要求してくれるのだ?

 そのときになって行政が学校にきちんとやらせるよう、期待して指を咥え、祈りながら待っているのか? それとも学校や子どもたちがメチャクチャにされるメディアスクラムを覚悟の上で、マスコミに密告し、煽るのか。

 いずれにしろPTAの、保護者にとって有利な部分だけは残しておかないと、教職員のように「遠吠えする負け犬」になるしかないのだ。