キース・アウト

マスメディアはこう語った

教師もプロなんだから、親の力なんかアテにしないで、子どもの学力と人間性をしっかり育ててよ――と叫ぶ親の声が聞こえる。 

(フォトAC)

 記事1

 

「暇でもいかない」小学校のクラス懇談会は6年オール欠席。「興味ない」で本当にいいのか大問題【専門家助言】
2026.02.11 FORZA STYLE) 

forzastyle.com

 昨今の日本ではタイパ(タイムパフォーマンス)やコスパが重視されるが、子育てはそう簡単にはいかない。共働き世帯が増え、「時間がない」という悲鳴が多く聞こえるなか、少子化が進む現実も理解できる。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
 「厚生労働省の『令和6年 国民生活基礎調査の概況』によると、児童のがいる(ママ)世帯のうち母が『仕事をしている』と回答したの割合(ママ)は80.9%に達し、比較可能な2004年以降、過去最高を記録しました。これは非常に高い数字です」
 共働きが当たり前になった今、議論の的となっているのが平日の学校行事やPTA活動だ。
 「保護者会や懇談会などの行事が平日に行われることは少なくありません。土曜授業が減った影響や施設の都合などにより、学校側も平日開催を『止むを得ない選択』としている側面があります。そんななか、懇談会などへの出席率低下に頭を悩ませる保護者や教員も少なくないようです」
(以下、略)

 記事2

 

 【関連記事】「他のママ友と昼から……」に続く発言に絶句。懇談会を6年オール欠席したママが、その時間にしていたこと

2026.02.11 FORZA STYLE) 

forzastyle.com

 田川瑞穂さん(仮名・41歳)は、夫と2人の子どもと暮らしている。子育てが一段落しつつある今、彼女にはどうしても腑に落ちないことがあるという。

「子どもたちが2人ともそこそこ大きくなり、少しは落ち着きましたが、それでも毎日は目まぐるしいです。夫もできる限り家事を手伝ってくれますが、結局は『お手伝い』の域を出ません。私が時短勤務を選択して、なんとか家庭を回しているのが現状です」

 そんな多忙な日々のなかでもクラス懇談会やPTA活動、授業参観といった学校行事は健在だ。
 (中略)
 共働きがスタンダードになった今、平日の午後に開催される懇談会への参加が難しい家庭は多い。しかし、「行けない」ことと、敬意を欠いて「行かない」ことの間には、大きな隔たりがある。自分だけの希望を通そうとする姿勢の先に、教育現場のさらなる疲弊がないことを願うばかりだ。
 (以下略)

 記事3

 
 「意味がない」「行きづらい」声が増える学級懇談会 それでも今のスタイルを続けるべき?

(2026.02.11 Yahooニュース)

news.yahoo.co.jp

 PTAをなくす学校が出てきています。働き方や家庭の形が多様化する中で、これまで「当たり前」とされてきた学校行事のあり方も、見直しの時期に来ているのかもしれません。学級懇談会も、その一つではないでしょうか。
共働き増で平日開催が多く、懇談会の出席が激減。36人学級で4人、「暇でも行かない」層も。
 出典:FORZA STYLE
懇談会が各地で閑古鳥。教室に集まるのは少数で顔ぶれ固定、「話せない・意味ない」などで欠席が広がる。
 出典:AERA with Kids+ 
 
 (中略)
 クラスの様子を伝える方法は、対面だけではありません。学級通信やオンライン配信、動画での共有など、選択肢は広がっています。保護者同士のつながりも、SNSやオンラインのグループなど、学校に集まらなくても生まれる形があります。
 
 もちろん、対面でしか伝わらないこともあります。ただ、「全員が同じ時間に同じ場所に集まる」ことだけが、つながりの形ではないはずです。
 
 最後に
 懇談会をなくせばいい、という話ではありません。ただ、「これまでずっとこうだったから」という理由だけで続けるのではなく、目的に立ち返って、今の時代に合った形を考えてみてもいいのではないでしょうか。

 評

 学級懇談会を主題とする記事が同じ日に三つ出たので三つとも挙げておく。ただし三つが無関係なわけではない。記事1と記事2は同じFORZA STYLE(フォルツァスタイル)のもので記事2は記事1の【関連記事】ということになっている。
 二つの記事は内容の7割程度が同一のものであり、記事1で専門家の意見に挟まれていた田川瑞穂さん(仮名)の話を、記事2は大きく取り上げて、田川さんの話だけで構成し直したように見える。
 また、記事1には雑誌社のサイトとはとても思えないような校正ミスもあって(「児童のがいる世帯」「回答したの割合は」など)、もしかしたら「記事1」が草稿なのに出てしまい、決定稿が【関連記事】というオマケをつけて二重に出てしまったものかもしれない。いずれにしろふたつの記事に共通するのは「田川瑞穂さんの話」である。

 二つの記事に触発されて書かれたのが記事3である。ただし趣は違う。むしろ正反対だ。1と2は懇談会の出席が少ないことをなげき、3はそうした現状を踏まえ、学校の方が変わっていくべきだと警鐘を鳴らしている。

【学級懇談会、昼飲みの後塵を拝する】

 記事1・記事2についてかいつまんで説明すると、瑞穂さんが小学校6年生になる娘さんの学級懇談会に出席したところ、36人のクラスなのに参加者が4人しかいなかったというところから話は始まります。
 後日、スーパーで同じクラスの保護者と偶然出会って話したところ、
「えー。あんなの、暇でも行かないよ。私は6年間一度も行ったことない。だって、つまんないじゃん!なんか一言しゃべんなきゃ行けない(ママ)のも嫌だし」
との返事。そのあっけらかんとした言いっぷりに呆れていると、
「ちょうどその日も暇だったから、他の友達と昼飲みしてたよ。なんか重要なこと話してた?」
と畳みかけてくる。そこで、
「先生が子どもたちの成長をまとめたスライドショーを作ってくださって。それを4人のママたちとウルウルしながら見ていた……」
という話をすると、
「えー! なに、それズルい! 学校に言わなきゃ。動画をシェアしろって!」

 私としては「6年間一度も行ったことない」のになぜ「つまんない」と思うのだ?「一言しゃべんなきゃ行けない(ママ)」ってどうして知っているのだ? とチャチャも入れたくなるが、内容として奇抜すぎてかえって創作の匂いのしない話ではある。

 これに対して専門家は、
「各ご家庭にそれぞれの事情があるのは当然ですが、公共の場でのつながりや役割を『つまらない』という個人的な感情だけで切り捨て、それを悪びれず口にしてしまう点には、社会性の欠如や幼さを感じざるを得ません」
と、しごく当たり前のコメントを出すが何ら方向性を示すわけでもない。これで【専門家助言】というのはいかがなものか(だから記事2ではひっこめられた?)。

 

【学級懇談会もそろそろ見直す時期だ】

 記事3は記事1を見た別の人物がYahooニュースに書いた記事だ。
 世を嘆く記事1・記事2とは違って、現実を肯定的にとらえている。
 働き方や家庭の形が多様化する中で、これまで「当たり前」とされてきた学校行事のあり方も、見直しの時期に来ているのかもしれません。学級懇談会も、その一つではないでしょうか。
 仕事や介護、小さなきょうだいの対応で、平日の昼間に時間を取るのが難しい家庭は少なくありません。
 参加できないことで「関心がない親」と思われるのではないか??そんな心配を抱えている方もいるでしょう。

 昼の飲み会も含めて平日の昼間に時間を取るのが難しい家庭が多いのはわかる。
 参加できないことで「関心がない親」と思われるのが嫌だという気持ちもわかる。
 だからといっても元教師が、学級懇談会はなくすか平日の昼間以外に、集まらずにできる方法を模索しろと提案するのは理解しがたい。

学級通信やオンライン配信、動画での共有など、
って誰がいつ作っていつ配信するんだ? まさか教師が平日の日中以外にやるのではないだろうな?
保護者同士のつながりも、SNSやオンラインのグループなど、学校に集まらなくても生まれる形があります。
 SNSやオンラインのグループなどはすでに親同士のいじめが心配になるほど広がっているではないか。
 懇談会をなくせばいい、という話ではありません。
 いや、その方向で突き詰めれば止めるしか選択肢はないだろう。
(もしかしたらそれでも「先生が夜間や休日に頑張ればいい」というのか?)

【親の負担になる学校行事は教師の能力と努力で補う】

 家庭訪問はとおの昔に実質的な役割を終えた。
 教員の働き方改革の観点からなくなったように言われるが冗談じゃない。30年以上前から掃除が嫌いで家の中を見られたくない保護者たちが熱心に活動を続けてきた成果だ。家の中を見られないで済むのは、個人情報の保護が言われる時代になってようやく実現した保護者の権利だ。

「最小の情報提供で、最大の学力向上・人格形成を引き出す」
 それは、
「最小の支出で、最大の利益を得る」
という消費者の行動原則にかなうものである。簡単に言えば家庭訪問を受ける側にとってコスパもタイパも悪すぎたのだ。せっかく掃除をし、仕事を休んでも子どもの成績が上がるわけではないのだから。
 同様に学級懇談会も、出たところで子どもの成績に繋がるわけではないし、昼の飲み会に比べたらまったく「つまんない」ものである。コスパ的には最悪で、出席者が減るのも無理はない。

 PTAも間尺に合わない、学級懇談会もダメ、この分だと同じく仕事を休まなくてはならない個人懇談も継続できなくなるかもしれない。入学式や卒業式を、保護者が参加しやすい休日か夜間に実施する日は来るのだろうか。いや、それでも参加できない親はいることを考えるとゆくゆくはなくす方向で考えるべきか、少なくとも欧米の学校で入学式があるところはほとんどないから。

 先生もプロなんだから親の力なんかアテにしないで、ウチの子どもの学力と人間性をしっかりと育ててよ――と叫ぶ親の声が聞こえるような気がする。 
 それを政治家やマスコミが拾い上げる。人々の不安や不満を煽ることが、票数や発行部数・視聴率に繋がるからだ。