キース・アウト

マスメディアはこう語った

メディア評論

文部科学省から学校に「行き過ぎた“校則” の見直し」が指示された。児童生徒・保護者・地域・教職員――どう転んでも誰かが猛反対しそうな案件。学校は大変だ。こうして教員の「働き改革」の掛け声のもと、仕事はさらに増えていく。

(写真:パブリックドメインQ) 記事 下着の色まで指定 行き過ぎた“校則” 見直しを 文科省が通知 (2021.06.13 HNK) www3.nhk.or.jp 生徒の下着の色まで指定するなど、行き過ぎた校則や指導が問題となる中、文部科学省は全国の教育委員会に対し、社会常…

学校教育が企業やマスメディアの踏み台にされ、完食される。「教育は死んだ、教育は死んだ、私たちが殺してしまったのだ!」――そんなふうに叫ぶ日は、案外近いのかもしれない。

(写真:フォトAC) 記事 「会食恐怖症」給食の完食指導が引き金に (2021.06.03 Yahooニュース) news.yahoo.co.jp 「会食恐怖症」をご存じですか。人前での食事に恐怖と不安を感じ、吐き気などの体調不良を引き起こす社交不安症のこと。学校給食や部活動で…

自民党の文部科学部会が、学校を取り巻く状況の変化に対応するためとかいって、変な提案をしてきたようだが、たかが部会だとバカにしないで、妙なことにならないよう注意深く見て行こう。

(写真:フォトAC) 記事 自民 教員養成の在り方を提言 免許更新講習見直しなど求める(2021年5月5日 NHK)www3.nhk.or.jp 教育の充実に向けた小中学校や高校などの教員の養成や研修の在り方として、自民党は、大学・大学院の5年間一貫で教員を養成するプロ…

子どもの性被害を減らす「生命(いのち)の安全教育」がいよいよ本格的に始まる。喫緊の課題で学校にしかできない重要な仕事だが、人も増やさず他の仕事も減らさず、ひたすら追加される新しい教育は、教師の生命の安全を脅かす

(法務省:フォトAC) 記事 「みずぎでかくれるところはだいじ」…性被害防止、幼児から大学まで教材作成(2021.4.16 産経新聞) www.sankei.com 深刻化する子供の性被害を減らすため、内閣府と文部科学省は16日、保健体育や道徳などの授業で今年度から段階…

文科省が学校への持ち込みを許可したスマホで、子どもたちが盗撮をすることがあるからしっかり指導しろって、オイ! 「教師の働き方改革」「労働時間の削減」はどうなってるんだ!

(写真:フォトAC ) 記事 被害者にも加害者にもなる中高生…スマホ悪用「校内で盗撮」目立つ (2021.03.28 読売新聞) www.yomiuri.co.jp スマートフォンの普及が進み、学校現場でスマホを使った盗撮などの事件やトラブルが相次いで表面化している。生徒が校内…

三条市:和食中心の給食に牛乳は変だからと廃止したが、先生たちが大変だとやかましいのでまた始めることにしました。

(写真:フォトAC) 記事 小中学校の牛乳ドリンクタイム廃止 三条市教委 現場負担配慮 4月から(2021.03.03 新潟日報) www.niigata-nippo.co.jp 新潟県三条市教育委員会は4月から、牛乳を給食とは別の時間に飲む市内小中学校での「ドリンクタイム」を廃止…

体操服の「肌着禁止」は保護者の要望で始まったとは限らないが、体育のある日は肌着も持たせろと言われてウンザリする親も少なくないと思う。

(写真:フォトAC) 記事 体操服の「肌着禁止」、保護者の要望で始まった? 女優ツイートに注目も...川崎市教委「経緯は不明」(2021.03.16 J-CASTニュース) www.j-cast.com 神奈川県川崎市立などの一部小学校で体操服の下の肌着を禁止していることについて、…

大人たちの事情が創り上げた「釜石の奇跡」という神話を、“真実”で解きほぐしていこうとする女性がいる。がんばれ!!

(フォトACより) 記事 「釜石の奇跡」は奇跡じゃない。あの日、報じられた“美談”から私は逃れられなかった (2021.03.09 BuzzFeed) www.buzzfeed.com 震災後、「奇跡」のストーリーを追うメディアの取材が相次いだ。釜石で起きたことに、「奇跡」という言葉…

「教員採用の倍率を上げるには、今いる人たちを大事にすることが一番の広報」という視点は正しいが、仕事は減らさない、人は増やさないといった状況を放置して、大切にされている気分にさせるのは難しいんじゃないのか?

(写真:フォトAC) 記事 【教員採用の倍率を上げるには?(2)】今いる人たちを大事にすることが一番の広報 妹尾昌俊 | 教育研究家、学校・行政向けアドバイザー (2021.02.26 Yahooニュース) news.yahoo.co.jp 教員採用試験の倍率低下が注目されています。…

ひとの迷惑にならず、危険さえなければ、子どもたちは何をやってもいいと専門家たちは言うけれど、それで果たして、苦しい勉学を続けていけるものだろうか。

それが現状とどれほど乖離していようとも、学校が常に求め、支えようとするのは「学ぶことを尊び、先人に対する畏敬を忘れず、教師・生徒双方を尊重し合い、共に高め合って行こうとする気風」だ。それを学校のアカデミズムという。 学校にアカデミズムがなけ…

どうやら大阪地裁はブロンドやブルネットの外国人留学生でも高校が黒く染めさせることを認めたらしい――という誤報まがいの記事が出た。

たとえ地毛であっても赤っぽい髪は黒く染めなくてはならない。 そんな恐ろしい判決が大阪地裁から出たらしい。 これで大阪府内の高校は金髪や赤毛の留学生を受け入れることが難しくなった。 しかしそんなことがあるのだろうかと、関西テレビの視聴者は訝るだ…

教員採用試験の競争率が下がり続けているというのに、文科省も自治体も本質的な解決の道を探ろうともしない。これって、かなりヤバくないか?

教員採用試験の競争率が落ち続けている。 倍率で2を切れば深刻な教員の質の低下が始まると言われているのに、 すでにそうなった自治体が2019年で12もあったという。 文科省は教員免許を取り易くすることで、 各自治体は受験のハードルを下げることで…

再び! 「小学校5,6年生が教科担任制になるかもしれないといっても、教師にとって何もいいことはないのかもしれない 」

中央教育審議会が答申を出して2023年からは小学校にも教科担任制を導入することを示した。 世間的には「教師の負担軽減につながる」と歓迎する見方もあれば、現場からは「冗談じゃない。教科担任制に使う金があるなら35人以下学級を早く実現しろ」とか…

新型コロナウイルスは、子どもたちの学校生活に深刻な影を落としているというが、それってコロナ以前から私たちがやろうとしていたことじゃなかった?

神戸市内には学級崩壊が重複して、「学年崩壊」といった様相を呈している学校があるという。 校長は、新型コロナで学校行事の多くが中止や縮小に追い込まれたことと関係があるのかもしれないと言っている。私もそう思う。 しかし小学校英語やプログラミング…

デビ夫人! あなたの真似をしたら私を誉めてくれますか?

基本的には教育問題しか扱わない本ブログだが。 正義をどう判断するかという点で都合のいい話なので、 事例研究として拾い上げる。要するに、 デビ夫人、あなたと同じことをしたら私を誉めてくれますか?という話。 (アドルフ・フォン・メンツェル 「舞踏会…

結局だれも個性的な教育なんて望んでいない。子どもの希望を最優先にさせて、横並びにするのが一番いいとマスメディアも思っているのだ。

修学旅行に関して、同じ市立中学であるのに子どもに人気のあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)に行けた学校と、そうでない学校の違いが生れ、それが大問題らしい。 この時期に大都会に行くことこそ問題だと思うが、子どもの希望を優先し…

半分眠りながら聞いていた、あの長く退屈な職員会議で耳に入ってきた内容が、いざというとき決定的に役に立つことがある。子どもの情報、心肺蘇生法、死戦期呼吸。

学校の事故で子どもを死なせてしまった場合はニュースになるが、 救ったときはニュースになりにくい。 しかし先生たちは、万が一のときのために日夜努力しているのだ。 あの一見くだらない職員会議にも重要な意味がある。という話。 (写真:フォトAC) 記…

スポーツや文化活動に目を輝かせたり、身の回りを整え、生き物に心寄せたりすることよりも、英語やプログラミング学習をした方が子どもの成長に資すると人々は考えた。

学校教育という寄せ鍋に、 国語・社会・数学(算数)・理科・英語・音楽・美術(図工)・体育・技家・道徳・特別活動といった基本的な具をたっぷり入れ、 そこに性教育やら人権教育やら、総合的な学習、キャリア教育、防災安全教育などの新しい具をてんこ盛…

「正しい行いは訓練しないとできない」という、当たり前のことを専門家に説明しなくてはならない悲しさについて

なぜ学校の掃除を、子どもがやらなければならないのか分からない人たちがいる。 もちろんそれがマスコミ関係者や保護者だったら素人だからかまわないが、 教師や教育評論家だったらマズイだろう。 特に後者は、なまじっか影響力を持つだけに、捨てておくわけ…

世界が憧れる日本式教育は、諸外国に輸出されながら、国内からは消えていく・・・のかもしれない。

中国で日本の学校給食が大きな話題となっているという。 文部科学省も給食や清掃、運動会、部活動といった日本式教育の輸出に熱心だ。 しかしそれらは、国内では縮小・削減の対象なのだ。 小学英語やプログラミング学習、そのほか未知の学習のために、 それ…

中教審が中間のまとめで、また新たな教育をめざそうとするらしい。せっかくすばらしい教育システムを持っているというのに、城の上に城を継ぎ足す。

中央教育審議会が近く中間のまとめを行うようだ。 その中で従来の「日本型学校教育」を高く持ち上げながら、さらに高みを目指してSociety5.0(狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会)にふさわしい教育を開拓していくらしい。 誇るべき「…

日本の子どもは精神的に世界で最も不幸だと言われて、違和感を持たないとしたら、それはやはり異常だ

ユニセフによる子どもの幸福度調査で、日本の子どもは体の健康の分野では1位となったものの、精神的な幸福度は37位だという(総合20位)。 だが、こと子どもや教育について「日本はダメだ」とか「最低レベルだ」といった話が出たら、眉に唾をつけて身構…

学校がうまくいっているとき、その手柄をひとりの人間に帰して報道するのはやめてもらいたい。それが金八先生でもヤンキー先生でも、泣き虫先生でもエリート校長であったにしても。

新聞に大阪市の小学校の優れた実践が紹介されていた。校内暴力に荒れていた小学校を、わずか7年で立て直し、学力も大いに上げた校長がいるという。ホンマかいな?手柄を独り占めにしたような報道に、校長自身、戸惑いはしなかったろうか?という話。 (「桜…

校則でツーブロックがダメな理由は何かという質問が、東京都議会で出されたらしい――しかし、そんなの簡単だろ?

東京都議会で「都立高校の校則で、ツーブロック(段差ができるような髪型)が禁止されているのはなぜか」という質問が出たという。それに教育長がうまく答えられなかったとかでSNS上は大笑い。私もそう思う。ツーブロックがダメなのは事件や事故に遭うからで…

オンライン学習が児童生徒の学力差を広げるなんて百も承知で、何が何でもやれと言い続けている人たちがいる。

日本のメディアから「オンライン学習先進国」ともてはやされた韓国からの報告。 オンラインでも成績上位者は「自己主導学習」で成績を維持できるが、中位の者は大きく落とす。塾に行っている者、家庭に教育力があって支援を受けられる者に影響が少ないが、多…

万が一の危機に備えて、日常の危機を甘受できる大人たちがいる~文科省は「学校に携帯を持ってくるように」と子どもたちに言った

大昔のファミコンに始まって、ポケベル、ゲーム&ウオッチ、ゲームボーイ、ポケットステーション、たまごっち、ニンテンドーDS、ニンテンドースウィッチ、ニンテンドー3DS・・・これまで幾千万の親たちが子どもの電子機器と戦い、敗れてきたことか――。それに…

4月~8月生まれの子は、9月入学のために生涯賃金で1千万円損する~どうやら先送りになりそうでよかったが。

自民・公明両党の検討委員会が9月入学を見送る方針を決め、 どうやらこの件は先送りになる模様。めでたいことである。 思えば今年3月以来、9月入学については良いことばかりがマスメディで取り上げられ、 問題点は経費や社会との整合性についてのみ語られて…

休校が続くからといって慌てて政府や学校をせっついて、オンライン授業なんか始めさせたら大変なことになるぞ。

新年度が始まったとたんに再び休校になり、 「子ども在宅ストレス障害」に陥った保護者から、 オンライン授業への要求が高まっている。 けれどあんなもの、 うっかり導入すると大変なことになるぞ。という話。 (「パソコンで学習する子ども」 フォトACより …

卒業式の保護者謝辞をなくせというのは、子どもに「感謝の気持ちなど持たなくていい、自分はひとりで育ってきたのだと教えろ」と言うに等しい

卒業式の次第に「保護者謝辞」があるのはおかしいという意見がある。 学校が自ら、「自分たちに感謝しろ」というのはおこがましいというのだ。 そうではない。 学校を通して、子どもを支えてくれた社会に感謝の気持ちを伝える、 親のその姿を見て、子どもも…

粉飾された「釜石の奇跡」を、丁寧に洗い落として正す若者がいるという奇跡

悪意ある粉飾「釜石の奇跡」を丁寧に解きほぐし、 粉飾を削ぎ落そうとする若者がいる。 偽物の美談のために将来の子どもたちが道を誤らないように。 美談より事実の方が美しい場合がある。という話。 (「東日本大震災 岩手県 釜石市」 フォトACより) 記事 …